歴史

ビロード革命が起こったとき、ラディスラフ・シェフチークはまだ三十前の若者でしたが、すでに意志を固めていることが一つありました。それは、見習い時代から働き続けていた国営企業Železnobrodské sklo（ジェレズニー・ブロッド・ガラス）を去ることです。自分のやり方で、自分のアイディアでガラスを作りたい、そして何より製作技術を変えたい、そう彼は思っていたのです。そこでガラス造形作家でありガラス彫刻家でもある妻のイトカと共に、独自の方針で市場の開拓を試みることを決心しました。

「私たちは、他とは違う仕事をしたいと考えました。ボヘミアンガラスとその品質を、進化させること。限定仕様の製品を作ること。つまり、昔とはまったく違うやり方、今日のやり方とも違う方法を目指したのです。」

イトカ・シェフチーコヴァー

最初の作品は、団地の一間のアパートで、隣室に音が漏れないようカーペットを壁に張りめぐらせた部屋で生まれました。夜は夜で、古い鍛冶場を小さな製作所に作り変える作業が進められました。

初め、私たちは周囲の笑い者で、こんな装飾方法など無意味だ、ましてや売れるはずなどないと、誰もその価値を信じようとはしませんでした。

ラディスラフ・シェフチーク

私たちは自分たちの考えと理想を、高名なルドルフ・フロウシェクのガラス製造会社の経営者一家に説明しました。その結果、フロウシェク家が自社のクリスタルガラス加工所を貸し出してくれることになりました。ルドルフ・フロウシェク社は1930年に設立され、1948年に国営化されました。創業以来、多くの傑作がこの会社から生まれていました。それらの製品に私たちも心を打たれ、製作にあたっても影響を受けていました。

当初から、私たちのカットは従来のスタイルとはかけ離れていましたが、それが日本の人々の心をつかむカギとなりました。 早くも1992年には、日本の皇室より、内親王の婚姻の儀にあたって花瓶60口のご注文を受けました。その2年後には、日本のテレビ局NHKの目に留まり、当社についての45分のドキュメンタリーが放映されて、日本市場への道が一気に開かれました。同時に、ディテールとカットの繊細さを重視した製作が行われるようになりました。

2002年以降、当社はジェレズニー・ブロッドにある自社所有の事業所で生産を行っています。